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外泊

昨日友達の家に泊まった。

恋愛の話をしながら、グーで自分の頭を殴るのに加えてグーで前髪を掻き毟ってたら、それは面白いから録画して動画サイトに上げるべきだと言われた。
これは混沌とした思考がいよいよエネルギーに変換されて頭から放出してしまいカオス的インフレーションを引き起こす前にこの拳に静電気をためて脳ミソに対して放電してやるためであり、エンターテイメントじゃないんだ!

そして、金持ちの人が通ってそうな感じのスパに連れて行ってもらった。
大理石造りの広いお風呂に入るのは久しぶりで、心の底から「はあ」という声がでた。
あまりの極楽ぶりに調子に乗って露天風呂に長く入り過ぎて、湯から上がって少し歩いたところで急に頭がクラクラし始めて、一瞬意識が飛んだみたいになって段差につまづいて転んだ。

「あはははちょっと大丈夫、あははは」という声と、ひんやりした床の感覚で意識がハッキリしてきた頃に、左太腿とお尻がジンジン痛んだ。
こっちはひどい目に遭ったというのにやたらウケている友達の隣に、物凄い真剣な顔で心配してくれてる見知らぬ女の人がいて、おいおいと思った。

疲れていたんだと思う。
何でも盛大に笑い飛ばしてくれる楽観的な彼女の隣で安心してぐっすり眠った。

しかし、朝目を覚ましたらいなくなっていた。
枕元に「朝ご飯の材料買ってくる。寝てていいよ!」という紙があり、置いていかれた私は泣きそうになった。

しばらくして帰って来た友達に、「寂しかったから布団の匂いを嗅いでたよ」と言ったら「やだー」と言われた。
そりゃそうか。ごめんなさい。

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ディナーアウト作戦

マカロンを食べたことがない。
あれが一体どんな味でどんな食感のするお菓子なのか全く想像できない。
今書いてる話に、お洒落なカフェでマカロンを食べるくだりを書くにあたって、エシュロンを使うくだりを書きたければNSAに潜入しろの精神でお洒落なカフェでマカロンを食べてみる必要がある。

いまのところ私の出来る諜報活動といえば、隣の部屋に住んでいる女の人の異性交遊を探ることくらいだ。
彼女はいつも、私よりずっと遅くに色んな男性を連れて帰宅するから、夜遅くにふと彼女が帰ってくる足音と話し声が聞こえた時、私は玄関にすっ飛んで行き、今日はどんな男の人と一緒なんだろう?これからお楽しみというわけか、とばかりにドア穴に目を当てる。このような馬鹿げたスパイ(覗き癖)を、もう一年以上続けている。

まったく、何をしているのやら。
きっと私の頭は幼少期頃からおかしくなったんだと思う。

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THIS

最近、神社に行くのが好きで、なんとなく夜の神社に行ってみたくなったので行ってきた。

日曜の夜であることと、鼻や口に容赦なく入り込む冷たい風のせいで、息を切らす事それ自体に強烈な心細さを感じながら自転車のペダルを漕いだ。
横断歩道で青信号を待ちながら、車のライトや信号機の光から高層マンションの最上階の灯りまで、ありとあらゆる夜の光を見渡していると、依然として皮膚では冷たさを感じているのに、燃焼した体の内側ではじわりと熱さを感じた。
目を閉じて鼻で息を吸い込むと、胸が儚さでいっぱいに満たされた。

人間ってなんて生々しい生物なんだろうと思いながら横断歩道を渡りきると、いつのまにか、夜に息を切らして神社に向かう自分に、面白さとちょっとした自由を感じていた。

神社の鳥居の前に自転車をとめて、ゆっくりと時間をかけて参道を歩いた。
神殿の両側に、夜にあるどれとも違うしっとりとした奥床しい灯りがあり、その間で紙垂が風に揺れていた。綺麗な揺れ方だった。イヤホンの中でホリーがそっと囁くようにLike Blood...Like Honey...と歌っている。独特な木の香りがした。

整ってきた息を大きくはあっと吐いて、唾を飲み込んで、「これ。」と思う瞬間。


まだ私の知らない、多くのありとあらゆる「これ」が在ることは分かる。
かろうじて言葉に変換できるようなものから、一体何が何だかわけが解らないけど今心がどうにかなった、なんて漠然としたものまで。

死ぬまでの間に、より多くの「これ」を得たい。
「なんだ?この、大量のこれは。棺桶のフタが閉まらないぞ」と言われるくらいには。

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Thanks to you

ラスベガスの銃撃戦の中に立って、晴れた空にSIG552を向けて照準を覗き込んでみると、飛び交うNATO弾の上にターコイズブルーが見える。
うっとりしていると次の瞬間、弾丸を浴び、視界がぼやけて地面に倒れ、斜めになったコンクリートのグレーが見える。
私のビショップが息絶え絶えになりながら、「どうしようもないやつだ」と笑っているような気がする。

そんな時に感じる馬鹿げた孤独感は、確かにどうしようもない。

ところが近頃は少し違う。どのように違うかは、情けないことにうまく言葉にできない。

でも、不思議な感じだ。

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Sam Rockwell glasses

視力は悪くないけれど、私には今、欲しい眼鏡がある。

名付けて「サム・ロックウェル眼鏡」

一見普通の眼鏡だけれど、小さなスイッチボタンを押すと、レンズの内側に、映画『ギャラクシークエスト』で、惑星探査に降り立つ直前、泣きながらパニックになるサム・ロックウェルの愉快な名演技が連続再生されるメディアプレーヤー内蔵型眼鏡だ。

これさえあれば、どんなに落ち込んでたり悲しいときも、眼鏡をかけた途端、つい顔がニヤけてしまうことうけあいである。

ただし、『ギャラクシークエスト』を観た時に、サム・ロックウェルがパニックになるシーンを何十回も巻き戻して大爆笑するほど大好きで、これこそがものの見事に自分の笑いのツボを突いた名シーンだと感じている人間にしか効果はない。

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